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VILLA BRAMARE VILLA BRAMARE 2026.09.02

一杯のコーヒーに、三百年の歴史を添えて ―― HOMARe:「Coffee Mag Kuro/鍋島焼」

きっかけは、結婚祝いの一客のマグカップ

すべての始まりは、担当者の個人的な出来事でした。
担当者がかつて結婚祝いにいただいた一客のマグカップ。

素晴らしいデザインは勿論のこと、使うたびに手に馴染み、気づけばすっかりその佇まいに惚れ込んでいました。「この器を、ぜひ客室に取り入れたい」——そんな想いから、思い切って作り手であるHOMARe:へ直接連絡を取ったのが、今回のプロジェクトの出発点です。

HOMARe:は、日本の伝統技術や職人による美しい手仕事、環境に配慮した素材選びなど、「100年後に残したい」ものづくりをテーマに掲げるテーブルウェアブランドです。

有田焼、そして鍋島焼を中心に、暮らしに寄り添う器を提案し続けています。

生産終了、そして思わぬ提案

いざ問い合わせてみると、担当者が愛用していたそのマグカップは、すでに生産終了が決まっているとのことでした。落胆しかけたそのとき、HOMARe:側からひとつの提案がありました。
「近々、コーヒーのために作られたマグカップを新発売する予定があります」
それはまさに、探し求めていたものでした。

結婚祝いの器との出会いから始まった縁は、思いがけない形で新しい一客へとつながっていきました。

鍋島焼という、献上品の系譜

このマグカップの土台にあるのは、

「伊万里鍋島焼」と呼ばれる由緒あるやきものです。

1660年代から江戸末期の廃藩置県に至るまで、鍋島藩が藩の威信をかけて焼かせ、お殿様や将軍家への献上品として作り続けてきた特別な磁器です。

市井に広く出回ることのなかったこの技術が、時を超えて一客のコーヒーマグへと形を変えています。

コーヒーのために設計されたフォルム

「Coffee Mag Kuro」は、ただ美しいだけの器ではありません。

コーヒーや茶を香り高く味わうことを目的に、細部まで考え抜かれた設計が施されています。
器の内側を空気がまぁるく巡るようなフォルムは、香りを引き立てながら、口当たりをやわらかく感じさせます。

また、重心をあえて下に置いたデザインによって、見た目以上に軽やかな持ちごこちを実現しています。飲むという何気ない所作の一つひとつに、静かな心地よさが宿るように作られているのです。

白と黒、両方を選ぶという決断

シリーズには白(Shiro)と黒(Kuro)の二色があり、両方を客室に設置することを決めました。

同じ形でありながら、白磁のやわらかな表情と、黒の落ち着いた佇まい。

それぞれに異なる時間の過ごし方を演出してくれると考えたからです。

手仕事だからこその、納品の難しさ

このマグカップは、一つひとつが職人の手作業によって仕上げられています。

だからこそ、色味や質感には個体差が生まれ、さらに製造の過程では焼成時に割れてしまう個体も一定数出てしまうという、量産品にはないリスクを抱えています。
必要な数量を一度にまとめて確保することが難しく、結果として納品は複数回に分けて行われることとなりました。効率だけを追えば手間のかかる進め方かもしれませんが、それこそが手仕事の器と向き合うということなのだと、あらためて実感させられるプロセスでした。

いま、静かに惜しまれる一客

そうして客室に迎え入れられた「Coffee Mag Kuro」は、現在すでに完売となっています。

一客一客に手仕事の温度が宿るからこそ、大量に作り続けることができません。

だからこそ、あの日結婚祝いでもらった一客に心を動かされた瞬間から始まった物語は、今もなお特別な価値を持ち続けています。
数百年前、殿様や将軍家だけが手にすることを許された鍋島焼が、今は静かに一杯のコーヒーを淹れる時間に寄り添っています。

効率や量産では決して測れない、器と人との出会いの物語が、そこにはあります。

  

  


  

HOMARe:(ホマレ)

モダンな有田焼など、日本の美しい伝統技術や手仕事、環境へ配慮した素材など、「100年後に残したい」ものをテーマにしたテーブルウェアブランドです

 


 

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